2010年11月02日

今回の企画で採用する手法について

 本企画主催者の1人(横山)は、サイエンスアゴラにて第1回以降、「本音で語る」と称したワークショップを毎年開催しています。その歴史を振り返るのはまたの機会として、一連のワークショップでは、前半に依頼した演者の小講演、後半は本音トークでの討論会という形式をとりました。今回も基本的にはその形式を踏襲したいと思いますが、昨年からグループワークを採用しており、一定の成果と大きな意義を感じています。
 因みに、去年の企画はこちらです。

 今回のワークショップでは、その形式に少し工夫を凝らし、3つの手法を組み込んだ形式にしようと思います。基本的には、前半が小講演、後半がグループ討論形式なのですが、後半部分にはワールドカフェ形式を採用し、また前後半通じての全体としてはシナリオプランニングの考え方に基づいて、フューチャーサーチの形態を採ります。
 それぞれの手法に関して、簡単に解説します。

 ワールドカフェ形式はグループワークによる議論・討論の形式の一つで、オープンな場において少人数の「島(話し合いをする場のこと)」でのグループ討論を行い、一定時間ごとに「島」と「島」の間の移動を自由に行うことが出来るようにすると云うものです。
 議論に際しては、「文脈の設定」「参加者の相互尊重」「協働を生み出す質問の探求」「全員参加」「多様な視点をつなげる」「他者の志向に耳を傾ける」「集団的発見の共有」の7つの柱があり、所属分野や肩書きの垣根を越えた話し合いの手段として有効であると云われています。

 ワークショップの後半をこの手法で行いますが、全体を通じてはフューチャーサーチの考え方に則って進行します。この手法は、属性や立場の異なる多様な人々が一堂に集い、また主催者の問題意識に沿って主導的な役割を担う人を中心としながら、以下
の手順に沿って議論を進めていくというものです。
・過去を振り返る。
・現在を探求する。
・理想的な未来のシナリオを作る。
・共通のよりどころを明確にする。
・行動計画(アクションプラン)を策定する。

 このシナリオ作りに際して、我々はシナリオプランニングの考え方を参考にします。
 この手法は、起こりうる可能性のある複数の未来(シナリオ)を想定することにより、不確実性の高い条件下での意思決定を適切に進めるというものです。これまでの基本計画立案等において主流であった「最も起こる可能性の高い未来を想定し、それに絞って計画立案を行う」という立場とは一線を画し、『未来を確実に予想することは不可能である』との立場に立って、以下の段階に沿って複数の未来を想定したシナリオを作っていきます。
・情報収集と、計画に影響する因子を抽出する。
・その因子群から、最も重要で不確実性の高いものを決める。
・シナリオを実際に策定する。
・先行指標を設定し、監視する。

 我々のワークショップでは、これらの手法や考え方の良いところを巧く取り入れながら、日本の科学技術のあるべき姿、またそれと関わる社会や企業、行政等のあるべき姿を考えていきたいと思っています。
posted by stsfwgjp at 14:57| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月24日

科学コミュニケーションって?

 ところで、そもそも“科学コミュニケーション”って何でしょうか?
 それを、今回は少しだけ掘り下げてみます。

(注 10/25 22:31 現在で未完です。)

 一番分かりやすい定義は、サイエンスアゴラ公式ページにある下記であろうと思います。
 (旧いですが、2006 年版のリンクを張っておきます。そこから一部改編の上での転載です。)

<改編付き引用ここから>

科学コミュニケーションとは

 科学のおもしろさや、科学技術をめぐる課題について、多くの人々に伝え、共に考え、人々の意識を高めるような活動の全てを、科学コミュニケーションと総称します。
 子どもたちを対象にした科学ショーや実験教室、科学系博物館などの活動をはじめ、研究機関の一般公開や、研究者による市民講演会、サイエンスカフェなどの取り組みや、研究者と学校・メディア・行政などをつなぐ試みや地域の NPO による活動も含みます。
 最近は、特に、単に研究について解説するだけではなく、課題について共に考えていく双方向のコミュニケーションの重要性が強く言われています。


<改編付き引用ここまで>

 関連する内容は、それこそ多岐にわたります。
 その一覧が、こちらにあります。

 自然科学の研究者コミュニティーでは、いわゆるアウトリーチ活動が科学コミュニケーションと同義とみられ、また科学ショーの活動や草の根活動をしている方々、サイエンスカフェの活動をしている方々などの間では、テレビの科学ショーや科学本(特に読み物系の書籍)の出版、テレビの科学番組などが科学コミュニケーションの分かりやすい具体例であると理解されています。
 勿論、それらも科学コミュニケーションだと、筆者も考えます。

 ただ、落ち着いて世の中を見渡してみると、例えば、ビジネスの世界でも製品の性能に関する科学・技術に立脚した議論や談義は普通に見られるし、臨床医療の世界でも、医療人と患者さん、医療人同士、医薬品・医療機器メーカーと医療人の間のコミュニケーションが多々見られるわけです。
 学校教育でも、理科教育は、科学を題材にした先生と生徒の対話による、題材の理解と相互理解をはぐくむ側面があり、やっぱりその意味で科学コミュニケーションです。これは、大学や大学院等の高等教育でも、官民の研究所での研究活動でも...研究者同士、教員と学生の間の議論や情報交換等を切り出して考えれば...大同小異でしょう。

 教育やビジネス、社会活動等の場における科学を題材にしたコミュニケーションを問題にすると、その問題意識は科学的な問題に立脚するものであっても、物理学者ワインバーグが云うような「科学に問うことが出来ても、科学に答えることの出来ない問題」に発展するものが多々出てきます。例えば、遺伝子組み換え技術の社会的受容の可否、原子力発電の問題、産業廃棄物処理場建設問題、研究者のキャリアパス形成、研究分野の重点的予算配分とその是非、開発駆動型の企業活動における取組内容の選択の問題、などなど。
 それぞれがどのような意味で科学コミュニケーションなのかに関する説明は、またの機会にしようと思いますが、皆さんにも考えて頂ければと思います。

 そう云う意味では、科学コミュニケーションという営みそれ自体は、とてもありふれたものだと云えると思います。

 逆に、それゆえに、あまりに守備範囲が広すぎて、概念としてはとっつきにくい側面があるともいえましょう。
posted by stsfwgjp at 23:22| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月17日

本企画の趣旨と概要

 今回は、企画の開催目的と、内容の概要を記していきます。

【企画の目的】
 科学技術のあるべき姿を未来から逆算して、現在の科学・技術や科学・技術政策がどうあるべきかを議論します。特に科学と社会との接点を重視し、多用なセクタの人達(外国人留学生、理系研究者、文系研究者、ジャーナリスト、科学コミュニケータ、科学政策関係者等)の問題意識、問題提起に基づき、科学技術の理想像と科学技術政策に関する未来への提言を行います。

【内容の概要】
 未来学の手法のひとつである「シナリオプラニング」の技法を用いて、「未来の科学・技術の理想像」、そして「未来の社会を創るための科学・技術政策とは何か」ということを議論し、提言を行っていきます。
 当座では、前半1人10分程度のカフェ形式、後半では予め設定した題材に応じたグループ討論(フューチャー・サーチワールドカフェ方式を予定;題材は、当座で要望があれば取り上げるなど考慮する予定)。本音トークで企画を進行するため、軽い飲み物を用意し、また来場者の自前の飲み物のご持参を歓迎します。
posted by stsfwgjp at 22:40| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

サイエンスアゴラにてワークショップ開催

 きたる 11月19〜21 日に開催の、科学コミュニケーションの祭典「サイエンスアゴラ 2010」にて、当会では以下のワークショップを開催します。

本音で語る科学技術政策 〜Our Future and STS〜
主催  千葉磨玲(総研大・サイエンスコミュニケーション研究会)
     横山雅俊(NPO法人 市民科学研究室)
     #phdjp 科学と社会ワーキンググループ
会場  産業技術総合研究所臨海副都心センター本館 - 会議室1(4階)
日時  11/20(土), 12:45〜14:15

 会場への行き方は、こちらをご覧ください。

開催趣旨:
 昨年末の行政刷新会議「事業仕分け」で、科学技術政策に関する大きな議論が巻き起こりました。またその一方で、科学技術政策に関する社会的な議論や取り組みは、未だに不十分なままです。本企画では、過去の科学技術政策が現在の科学技術にどのように影響しているかを確認しつつ、科学技術のあるべき姿を本音で議論します。

 当日の内容に関しては、順次別のブログ記事にて掲載していきます。
 どうぞ宜しくお願い致します。

 このブログでは、我々の企画のご案内や、企画開催の背景となる事柄、我々の活動の経歴や経緯の他、関連する企画の紹介なども随時行っていきたいと思います。
 随時ご覧いただければ幸いです。
posted by stsfwgjp at 13:57| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする