因みに、去年の企画はこちらです。
今回のワークショップでは、その形式に少し工夫を凝らし、3つの手法を組み込んだ形式にしようと思います。基本的には、前半が小講演、後半がグループ討論形式なのですが、後半部分にはワールドカフェ形式を採用し、また前後半通じての全体としてはシナリオプランニングの考え方に基づいて、フューチャーサーチの形態を採ります。
それぞれの手法に関して、簡単に解説します。
ワールドカフェ形式はグループワークによる議論・討論の形式の一つで、オープンな場において少人数の「島(話し合いをする場のこと)」でのグループ討論を行い、一定時間ごとに「島」と「島」の間の移動を自由に行うことが出来るようにすると云うものです。
議論に際しては、「文脈の設定」「参加者の相互尊重」「協働を生み出す質問の探求」「全員参加」「多様な視点をつなげる」「他者の志向に耳を傾ける」「集団的発見の共有」の7つの柱があり、所属分野や肩書きの垣根を越えた話し合いの手段として有効であると云われています。
ワークショップの後半をこの手法で行いますが、全体を通じてはフューチャーサーチの考え方に則って進行します。この手法は、属性や立場の異なる多様な人々が一堂に集い、また主催者の問題意識に沿って主導的な役割を担う人を中心としながら、以下
の手順に沿って議論を進めていくというものです。
・過去を振り返る。
・現在を探求する。
・理想的な未来のシナリオを作る。
・共通のよりどころを明確にする。
・行動計画(アクションプラン)を策定する。
このシナリオ作りに際して、我々はシナリオプランニングの考え方を参考にします。
この手法は、起こりうる可能性のある複数の未来(シナリオ)を想定することにより、不確実性の高い条件下での意思決定を適切に進めるというものです。これまでの基本計画立案等において主流であった「最も起こる可能性の高い未来を想定し、それに絞って計画立案を行う」という立場とは一線を画し、『未来を確実に予想することは不可能である』との立場に立って、以下の段階に沿って複数の未来を想定したシナリオを作っていきます。
・情報収集と、計画に影響する因子を抽出する。
・その因子群から、最も重要で不確実性の高いものを決める。
・シナリオを実際に策定する。
・先行指標を設定し、監視する。
我々のワークショップでは、これらの手法や考え方の良いところを巧く取り入れながら、日本の科学技術のあるべき姿、またそれと関わる社会や企業、行政等のあるべき姿を考えていきたいと思っています。