2011年10月10日

企画の基本理念:ワークショップ「本音で語る“夢の薬”-2010年問題をぶっ飛ばせ-」

 このエントリーでは、当企画の基本理念をご紹介します。

当企画の背景
 いわゆる「医薬品2010年問題」=ブロックバスター問題が医療業界や医薬品業界で話題になって久しい。大手製薬メーカー(先発品メーカ)の稼ぎ頭である医薬品(=ブロックバスター)が続々と特許切れを迎えることにより、大手医薬品メーカは経営面の影響に危機感を募らせている。他方で、日本では国民皆保険制度の危機的状況により、政府はいわゆる後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用を推奨し、医療保険費の削減を図ろうとしている。この後発品推奨による保険医療費の削減は、保険制度に対する国民的な負担感の軽減や、医薬品の効率的利用の促進に役立つという期待がある一方で、先発品メーカーにとっては収入減につながるという危機感がある。この先発品メーカーの収入源は、そのままその先発品メーカーの新規医薬品開発のパワー低下に直結する。
 その一方で、医薬品ユーザーたる一般庶民、患者たちは、医薬品の恩恵を受ける機会を多く持ちながらも、ある時には有害副作用や薬害などに苦しめられることもあり、またある時には大規模臨床試験や実績の少ない先進医療への参画に或いは主体的に協力し、或いは悩みまた拒絶もしてきた。こうした一連の流れの中で、一般庶民や患者たちも、医薬品のおかれた科学的な事柄や、医療経済の現状に囲まれながら、日々生活している。
 ところで、こうした医薬品をめぐる構造的な問題を、製薬の研究及び開発、臨床医療、一般ユーザの間で共有する動きは、これまで殆ど無かったと思われる。特に、医薬品開発の困難、薬の効き方のからくりと安全性の問題に関して、セクタの枠を超えて同じ問題と向きあう試みは稀であった。
 最近打ち出された概念に、「育薬」というものがある。製薬の研究及び開発、臨床医療、一般ユーザ(庶民、患者)など、それぞれのセクタの者がそれぞれの立場で医薬品を使いやすく、有効で安全なものにしていく取り組みを総称したものだ。基本的には、既に市販された医薬品に関しての市販後の取り組みを指す場合が多いが、開発途上の新薬も含めて考えれば、この概念は知の成果としての医薬品を社会の財産として共有し育てていくという意味で、科学研究への市民参加という文脈を持ちうる。
 よりよい薬を作り、よりよい薬の使い方を考えていくうえでは、専門家の努力だけでは足りない部分が必ずある。それは、医薬品の歴史をひも解いてみれば、不幸な有害副作用や薬害の事件などの蓄積、或いは難治疾患を克服してきた実績の蓄積などを通じて、大なり小なり見えてくることだ。しかし、そのこと自体は、社会的な公共知としては充分に認知及び共有されてはいないのではないだろうか。

当企画の目的
 以上の背景を踏まえて、医薬品を巡る現状や、その開発及び使用に関する難しさの問題を共有しながら、セクタを超えてまず共有する。更に、新しい医薬品を作っていくうえでの難しさや、医薬品の使い方の難しさの本質が何であるのかに関して、それを解決するためのヒントを、垣根を超えて共に考え、問題と向きあうための対話を行い、新たな科学的技術的な革新に結びつけるためのヒントを手に入れることを目指したい。
posted by stsfwgjp at 08:41| Comment(0) | 科学・技術・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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